「憎まれっ子世に憚る」という諺は真実なのでしょうか?
憎まれっ子と聞いて、どのような人物を想像しますか?
クラスメイト?会社の上司?有名人?
狭い範囲でなら、そこら中に憎まれっ子がいると思います。
最強の憎まれっ子というと、国家を強権で支配する独裁者を置いては他にはいないでしょう。
その諺が真実なのか、第二次世界大戦前後~現代までの独裁者の寿命を調べ、検証してみました。
世界の有名な独裁者の寿命まとめ
平均寿命に存命の人物は含んでおりませんが、参考のため併記してあります(存命の人物の年齢は記事公開時のものです)
ヨーロッパの独裁者:平均寿命約72歳
スターリンとヒトラーという二大独裁者も世界大戦の結果により命運が別れた。
連合国(赤)と中立国(黄)の側は長寿で、 敗者の枢軸国(青)はやはり短命傾向。
- ドイツ:アドルフ・ヒトラー 56歳
- ノルウェー:ヴィドクン・クヴィスリング 58歳
- スロバキア:ヨゼフ・ティソ 59歳
- イタリア:ベニート・ムッソリーニ 61歳
- クロアチア独立国:アンテ・パヴェリッチ 70歳
- ルーマニア:ニコラエ・チャウシェスク 71歳
- ソ連:ヨシフ・スターリン 74歳
- ソ連:レオニード・ブレジネフ 75歳
- ポルトガル:アントニオ・サラザール 81歳
- スペイン:フランシス・フランコ 82歳
- ユーゴスラビア連邦:ヨシップ・ブロズ・チトー 87歳
- ヴィシーフランス:フィリップ・ペタン 95歳
第二次世界大戦の陣営ごとの独裁者の平均寿命
- 枢軸国の独裁者の平均寿命:66.5歳
- 連合国の独裁者の平均寿命:76.75歳
- 中立国の独裁者の平均寿命:81.5歳
アフリカの独裁者:平均寿命約76歳
- ザイール(現コンゴ民主共和国):モブツ・セセ・セコ 66歳
- リビア:ムアンマル・アル=カッザーフィー(カダフィ大佐)69歳
- スーダン:オマル・アル=バシール75歳(存命)
- ウガンダ:イディ・アミン 78歳
- チュニジア:ザイン・アル=アービディーン・ベン・アリー 82歳(存命)
- エジプト:ホスニー・ムバーラク 91歳(存命)
- ジンバブエ:ロバード・ムガベ 95歳
中東の独裁者:平均寿命約76歳
- イラク:サダム・フセイン 69歳
- シリア:ハーフィズ・アル=アサド(現シリア大統領のB・アサド父)69歳
- イラン・イスラム共和国:ルーホッラー・ホメイニー 86歳
アジアの独裁者:平均寿命約74歳
中国は数が多いのでとりあえず毛沢東と存命の習近平のみ。
- 大韓民国:朴正煕 61歳
- トルクメニスタン: サパルムラト・ニヤゾフ 66歳
- 中華人民共和国 習近平 66歳 (存命)
- カンボジア:ポル・ポト 70歳
- 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮): 金正日70歳
- フィリピン:フェルディナンド・マルコス 72歳
- ベトナム民主共和国: ホー・チ・ミン 79歳
- 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮):金日成 82歳
- 中華人民共和国:毛沢東 82歳
- シンガポール:リー・クアンユー 91歳
アメリカ大陸の独裁者 :平均寿命約70歳
この地域は「トロピコ」というシミュレーションゲームのモデルになったという話も納得できるほど独裁者が多いです。
カリブの独裁者:平均寿命約74歳
- ハイチ:フランソワ・デュヴァリエ(パパ・ドク) 64歳
- ドミニカ共和国:ラファエル・トルヒーヨ 69歳
- キューバ:フィデル・カストロ 90歳
中米の独裁者:平均寿命約58歳
- グアテマラ: カルロス・カスティージョ・アルマス43歳
- ニカラグア: ルイス・ソモサ・デバイレ(ソモサ長男) 44歳
- ニカラグア: アナスタシオ・ソモサ・デバイレ(ソモサ次男) 54歳
- ニカラグア:アサスタシオ・ソモサ・ガルシア 60歳
- グアテマラ:ホルヘ・ウビコ 66歳
- パナマ:マヌエル・ノリエガ 83歳
南米の独裁者:平均寿命約83歳
- ブラジル:ウンベルト・デ・アレンカール・カステロ・ブランコ 69歳
- ボリビア共和国:ウゴ・バンセル・スアレス 75歳
- アルゼンチン:ホルヘ・ラファエル・ビデラ 87歳
- チリ:アウグスト・ピノチェト91歳
- パラグアイ: アルフレド・ストロエスネル 93歳
独裁者が長生きな理由
独裁者の寿命をみると、その時代や国にしては明らかに長生きな人物が多いように思いました。
理由は、独裁者は権力者であると同時に資産家でもあります。
なので、貧しい国の人物であっても良い食事や最高の医療を受けられるからだと思います。
争いが起これば短命
逆に争いが起こると独裁者と言えど、長生きできないようです。
栄養状態が良くて、適切な医療が受けられれば長生き、争いが起これば短命。
生物なので、当たり前といえば当たり前の話ですよね。
まとめ:「憎まれっ子世に憚る」は真実。けれど幸福かどうかはわからない
もし「憎まれっ子世に憚らない」ならば、もっと独裁者の寿命が短いはずです。
「憎まれっ子世に憚る」は間違いなく真実と言っていいでしょう。
絶大な権力を得れば、莫大な富も転がりこんできます。
当然その椅子を欲しい人は沢山いますし、絶大な権力でも盤石と言えず、ほころびはあるものです。
さらに独裁権力は不正を正す仕組みが皆無なので、腐敗が進み国民感情が悪化し、その結果権力を失う可能性もあります。
「権力を失う=命を落とす」といっても言い過ぎではないでしょう。
彼らが幸せだったのかは、わかりませんが「失う事の恐怖」や「猜疑心」は、一般人より数十倍は強かったのでは?と思います。
どれだけ蓄財し、個人崇拝を強要しても、それらの苦しみや不安を無くすことは難しいだろうと想像に難くありません。
「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対に腐敗する」という言葉も同様に真実
独裁者というネガティブな存在を知ることは、 よりよい社会の反面教師になるのでとても大切な事です。
独裁者という存在は、私利私欲のため、多数の人々を犠牲にしてきました(現在進行形で)
そして革命などにより、権力が交代しますが、その革命の英雄も独裁者と化すパターンがよく見られます。
「憎まれっ子世に憚る」という諺と同様に 「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対に腐敗する」という言葉もまた真実なのだなと、この記事を書いていて思い知りました。
コメント