「ザ・森男」とは、自らの手でツリーハウスを作り、人里離れた森林の中に生きる「森男」達に密着した全8話からなるヒストリーチャンネルの番組です。
「自給自足」をテーマにした番組は割とありますが、ツリーハウスの住人と言う点がこの番組の秀逸さです。
3組の森男の生活に密着しているのですが、どの森男も個性的です。しかし、今回はある1人の森男、ジェイについて取り上げようかと思います。ネタバレも含まれているのでその点はご了承ください。
孤高の森男ジェイ
ジェイという男は、森男達の中でも異質な存在です。他の森男達は相棒がいるのですが、ジェイにはそういう存在はいません。孤独な森男の中でさらに孤独、いや孤高の存在と言えるかもしれません。
ジェイは溶接の達人なので、その技術で問題に対処し、サバイバルをします。
ジェイは豊かなヒゲ、メガネをかけ、オーバーオールと言ういで立ち。これだけを聞くと、アメリカの田舎にいるような自然を愛する優しいおじさんのように聞こえますが、彼のメガネの奥の眼光はとても鋭い。
違法伐採者について語るジェイの目つきはとにかくヤバイ。本当に怒っているんだなってっていうのがよくわかる。
彼の悩みは、すでに述べたように敷地内の木を勝手に伐採していく違法伐採者の存在です。
「俺は見ての通り落ち着きがあって、社交的で、友好的な気の良い男だ。その一方でハイイログマのような部分もある。自分から厄介ごとに首を突っ込みはしないが、ケンカを売るやつがいたら猛然と襲い掛かる。俺はそういう男だ。」という彼の言葉通り、彼は土地を荒らすものに対しては容赦しません。
警報器を自作し、侵入者を追い払おうとするが…
現代日本ならばトラブルがあれば通報するという発想になりますが、森の中では自らの手で土地を守らないといけません。そして彼はスクラップを加工し、警報装置を作り対処しようとします。
「誰かを傷つけるものじゃない、怖がらせるだけ。出て行ってほしいだけだ。」と善人のようにジェイは言いますが、彼によって生み出された警報器こそが彼の本心を表していると思います。それほどまでに違法伐採者に怒っているのです(木を1本失うごとにと1000ドル以上の損害らしいので当然と言えば当然かもしれない)
しかし、渾身の警報装置を製作しても、その後何度も木を盗まれ続けてしまいます。
遂に違法伐採者に対して実力行使に出るジェイ
この森男ジェイの違法伐採者との対決が今作の彼のハイライトです。
違法伐採者にキレたジェイは遂に実力行使に出ます。なんと違法伐採者のバギーに静かに近づき奪い取ります。追いかける違法伐採者。森の中でカーチェイスが始まります。
森の奥に逃げたジェイは、バギーに積んであった発電機の枠を外し、本体部分をリュックに入れ、木に登り身を隠し、追跡者たちをやりすごしました。「目には目を歯には歯を」という古い言葉に則って復讐を果たしたジェイなのでした。
重たい物を高いツリーハウスまで運べるように、ケーブルカーを制作していたジェイ。あとはモーターがあれば完成というところでしたが、森の中にモーターなどありません。たまたま偶然違法伐採者のバギーに発電機が積まれているという幸運に恵まれ、無事ジェイはケーブルカーを完成させることが出来たのでした。
正直ここはヤラセ(演出)感が凄かったのですが、ジェイが「お前ら!勝負だ!」と叫びながら盗んだバギーで走り出すシーンは中々面白かったので、個人的には問題ないと思ってしまいました。
現代人が失った何かを持っている森男達
凄まじい気迫と行動力、技術を持ってして自分の土地を守ろうという独立独歩の森男ジェイは何か現代人が失ったようなものを持っているように思いました。
他にも若い発明家イーサンの自転車式エレベーターは凄いという感想しか出てきません。マイクはナイフを制作し、薪ストーブとの取引に使うなど、現代日本で暮らしていると絶対に出くわすことのない珍しいシーンを観ることが出来ます。
とても面白いので自然やアウトドア、DIYやドキュメンタリー好きの人におすすめの番組です。
こちらが面白かったら、「灼熱大地の男たち」と「ザ・山男」も是非ご覧になってみてください。ジェイのようにクセが強すぎる人物は出てこないので少々物足りないのですが、似たようなテイストなので楽しめると思います。
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